13年ぶりの故郷。親子3世代・7人で始めた新しい生活/テクノプロジェクト 高尾雅幸さん

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入社後に突如告げられた大阪への配属。気がつけば、13年が経過していた。故郷に戻るか、それともこのままとどまるか。悩んだ末に下した決断は、島根に帰ることでした。県内最大級のIT企業・テクノプロジェクトに所属するシステムエンジニアの高尾雅幸さんは今、両親と同郷の妻、3人の娘と賑やかな日々を送っています。ここにたどり着くまでの道のりはーー。

プロフィール
島根県松江市出身。地元の松江高専卒業後、広島のシステム開発会社に新卒で入社。すぐに大阪へ転勤し、大阪支社に13年間勤務。システムエンジニアとして、官公庁のシステム開発・保守などを担当。2015年4月にUターンし、テクノプロジェクトに入社。奥出雲町出身の妻と3人の娘(12歳、10歳、8歳)の5人家族。現在は両親も含め、7人で松江市内に暮らす。

13年過ごした大阪か、それとも帰郷か。

ー松江市出身ですが、どんなキャリアを。

コンピュータ関係の仕事に就こうと松江高専に入学し、卒業後は広島のシステム開発会社に入社しました。当時、島根県内には今ほどIT企業がなく、都会への就職の選択肢の方が多かったからです。その中から、島根からも程よく近い距離にある広島を選びました。

ただ、1カ月間の新人研修を終えた後、大阪支社への配属を告げられました。「まさか自分が選ばれるとは」と、予想外の出来事でしたね。最初は「3年で帰らせる」と言われましたが、結果的には13年間も大阪で働くことになりました(笑)。長く生活していたので、大阪での暮らしには随分慣れ、大きなストレスもなく過ごしていました。

ー13年住んだ大阪から、Uターンした理由は。

島根に帰るか、帰らないか。当時の心境は、半々くらいでしたね。以前から親元へのUターンはぼんやりと考えていて、子供が小学校に入学する前など、なるべく早いタイミングがいいだろうと思っていました。一方で、大阪での生活も長かったですし、このまま大阪に残ることも選択肢としては十分ありました。ですから、決して「どうしても帰りたい」というわけではなかったんです。

大きかったのは、やはり子供の存在ですね。当時、長女が小学2年、次女が1年でした。高学年、さらには中学生と時間が経つ分だけ転校を嫌がるだろうし、同じ島根生まれの妻とも「帰るなら子供たちが小学校低学年のうちに」と真剣に話し合い、Uターンを決断した経緯があります。そう決めてからの準備は早かったですね。すぐに転職先を探し、テクノプロジェクトに採用されました。子供たちは「仲のいい友だちと離れるのは嫌」と寂しがってましたが、最終的には「ついていく」と言ってくれましたね。

社長から新人まで、距離感が近く働きやすい

ー転職先にテクノプロジェクトを選んだのはなぜですか。

最も大事にしたのは、前職の経験やスキルを活かせるかどうかです。前職では官公庁のシステムを扱っていたんですが、テクノプロジェクトも同じ領域をカバーしています。また、従業員が200人超、売上高が36億超(2017年度)と県内では最大級のIT企業です。この規模感も前職と近く、「ここが一番合っている」と思って応募しました。

ーテクノプロジェクトは官公庁システムに強いのですか。

30年以上にわたって地方自治体業務の電子化を推進してきました。電子申請サービスやホームページの制作など、これまで培ってきた豊富な経験とノウハウがあります。他にも、医療・介護や金融、教育、製造・流通など幅広い業界でシステムの開発や保守管理などを手がけています。例えば医療分野では、国内初の本格的電子カルテシステムを県内の病院に導入した実績などがあります。私が今担当しているのは、ある自治体のシステム管理です。住民票や税金などの大事な住民情報を網羅するシステムを扱っています。

入社して強く感じるのは、社内のチームワークのよさです。社長などの役員から若い社員まで、ガチガチの上下関係がなく従業員同士の距離感が近いんです。そのため、トラブルや悩みがあったときも相談しやすく、すぐに助けてくれることが多いですね。前職では上司に相談する際などに少し抵抗があったりしましたが、今はそれが全くありません。みんなで協力して仕事をする。そういうポジティブな雰囲気がテクノプロジェクトの強みでしょう。

海やスポーツ活動の遠征。子供と過ごす時間増える

ープライベート・生活も快適に過ごされていますか。

車での移動がメインになり、自由に遠くへ行くことができるようになったのは嬉しいですね。大阪も公共交通機関が発達しているので決して不便だったわけではないのですが、車があると海や山などにいつでも出かけられます。特に夏になると子供たちが「海に行きたい」とよく言うので、気軽に連れて行ってあげられるのは大きな変化ですね。

子供たちも長女と次女にとっては転校になるので、うまく馴染めるかどうか不安でしたが、結果的にはすぐに友だちができて、楽しそうに遊び回ってますよ。私自身も、海に行ったりと子供たちと過ごす時間が増えました。特に最近は、長女が始めたバレーボールの引率に忙しい日々を送っています。毎週土日は大会や練習試合で、ときには片道2時間ほどかけて車で送迎しています。次女はダンス、三女はドッジボールをやっているので、練習時間が重なったりすると大変なんです(笑)

ーUターンして、生活面で困ったことはありませんでしたか。

病院や美容院など、生活に必要な定期的に行く店や施設をゼロから調べなくてはならなかったことが、少し大変でした。特に、病院です。大阪にいた頃は近所に行きつけの病院があったのですが、ここではそうした情報がなかったので、最初は評判や得手不得手などを知り合いに聞きながら、あちこち診療する羽目になったことがありました。ただ、松江市は小学生まで医療費が無料なので、それは非常に助かりますね。

ー13年ぶりに帰郷して、改めて感じる地元のよさは。

島根は人と人とのつながりが都会よりも強い気がします。近所や会社、学校、自治会。いずれも大阪ではなかったようなコミュニティに参加しており、いろんな人と仲良くできる土壌があって楽しいですね。ただ、その分大変なこともありますよ。今年は自治会長に就任したので、今はその仕事が増えて忙しいです(笑)

島根UIターンの成功は、しっかり考えながら行動し、選択

ー島根へのUIターンやテクノプロジェクトへの転職を考えている人に向けて。

UIターンは手続きや引っ越し、職探しなど、やるべきことが多くて大変に感じますよね。ただ私の経験から言えば、悶々と考えていただけの頃よりも、実際に動き始めると何とかなるもんだな、という感覚があります。職探しについて言えば、私の場合はなるべく前職の仕事内容に近く、経験を活かせる場所を探しました。もちろん、環境をガラッと変えて新しいことに挑戦する手もあります。どちらを求めているのか。しっかり考えながら行動し、選択するといいでしょう。

テクノプロジェクトは県内のIT企業では歴史が長く、規模も大きい。県のIT産業を引っ張っているような存在です。かつ、柔軟に働ける環境があります。上司との距離が近く、いい意味でガチガチのルールに縛られていないので、比較的自由にやりたいことがやれたり、声を上げられる雰囲気があります。私のように家族持ちで前職の経験を生かそうという人、あるいは若くてやる気に満ち溢れている人、どちらも大歓迎です。UIターンを考えているのであれば、ぜひ島根へいらしてください。

 

======= 【お知らせ】=======
テクノプロジェクトは、9月1日(大阪)/9月15日(東京)のイベントに出展します

[本記事は、IT WORKS@島根からの転載です]

About Author

フリーライター/1983年神奈川県生まれ。2008年〜化粧品専門誌の記者を経て、2016年フリーランスに。現在、東北復興新聞(発行:NPO法人HUG)のほか、企業のCSR・CSV、ソーシャル・ローカルビジネス、一次産業、地方創生・移住などをテーマに取材〜執筆活動している。

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