北九州市が取り組む「おためしサテライトオフィス推進事業」にIT企業をはじめ多くの企業が視察に訪れ、反響が広がっています。同市は今年度も継続的に視察や誘致に力を入れる考えで、近く募集要項などを公表する予定です。なぜ今、北九州市が注目を集めているのでしょうか。
おためしサテライトオフィス推進事業とは、地方での拠点設置を検討する首都圏などの企業(北九州市内に拠点を持っていない企業)を対象に、市滞在に関わる交通費や宿泊費、ワークスペースの利用料を助成する事業です。
市によると、昨年度(2023年度)に同事業を通じて視察を行ったのは、IT企業やベンチャーキャピタルを中心に45社に上りました。市内の企業や金融機関、学校・学生らとの交流や人材採用の機会をつくるため、専属のマッチングコーディネーターを配置し、視察企業の滞在やマッチングを手厚くサポート。滞在スケジュールの調整は各社個別にアレンジしており、それぞれの企業が独自の旅程設計を組むことができるそうです。
視察した企業からは特にビジネスマッチングに関する支援を評価され、視察満足度は4.6点(5点満点)と高い結果となったといいます。具体的には、「自治体や企業、大学の担当者、実務者と課題と解決の方向性を共有し、短時間のうちに強固なネットワークを築くことができた」「北九州エリアの現状を理解できたこと、いくつかの土地の目星がついたこと。なかでも具体的な案件につながりそうな状況である」といった声が寄せられてるそうです。
また、受け入れる側の市内企業や団体からも多くの賛同を得られ、市内の産学金官が一体となって市の魅力や強みをアピールし、企業の集積・誘致を推進するネットワーク「IT Scrum KitaQ」が新たに発足(写真参照)。地域を代表する企業、教育機関、金融機関、行政が参画し、今年3月10日時点でその数は106社に上ります。
市は当初の想定を大きく上回る反響があったとし、今年度も継続して本事業を実施することを決定。詳細が確定次第、公式サイトなどで公表するとしています。今年度はこれまで通りIT企業はもちろん、ベンチャーキャピタルの視察受け入れも強化する予定で、出資先企業に対する支援メニューの拡充などに活用してもらいたい考えです。
▼「おためしサテライトオフィス推進事業」公式サイト
https://www.otameshi-kitaq.jp/