ソフトウェアに関するテストの実装や設計、評価などを手がける株式会社ベリサーブ(本社:東京都千代田区)が、北海道函館市に新たな拠点として子会社「ベリサーブ函館」を4月に設立しました。市と連携し、ITエンジニアの採用を強化するとともに、地域の企業や教育、研究機関などと協力しながら地域活性化に取り組み事業拡大を進めていくとしています。その狙いはどこにあるのでしょうか。
昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速し、ソフトウェアの開発スピードや品質に対する要求が高まっています。社内外での積極的なITの活用とエンジニアの確保が不可欠な中、近年は多くの企業が優秀なエンジニアを求め、地方での採用や拠点開設の動きが盛んです。
そうした中、ベリサーブは2016年に地方拠点として「ベリサーブ沖縄テストセンター」を設立。車載ソフトウェア、ウェブアプリケーションの検証などを手がけ、2022年度に52件のプロジェクト、売上に換算すると11.5億円の規模にまで拡大しているとのこと。今後のさらなる事業拡大に備え、新たな地方拠点として函館に進出することにしました。
函館市は、市区町村魅力度ランキングで常に上位にランクインしているほか、IT系の大学や専門学校があるため優秀なエンジニアの採用も期待できることなどが進出の決め手になったそうです。
ベリサーブ函館の青羽隆・執行役員は、「ソフトウェア開発におけるテスト・検証の需要は今後も拡大していくが、一方でIT人材は不足している」と現在の課題に触れたうえで、今後の展開について「特に自動車・Web業界での品質保証のニーズが高まっており、テスト・検証業務を一層加速させるため要員を2026年までに200名体制に拡充する予定」と明かしています。
自社のサービス体制を強化するとともに、地域雇用を促進することで函館の地域経済に貢献していきたいともしています。なお、事業開始は今年6月頃を予定。北の大地で産声が上げた同社の新たな拠点と展開に、目が離せそうにありません。