「楽しいこと」をひたむきにやり続けた、Uターンサクセスストーリー!
街をアートにする映像表現、プロジェクションマッピング。リアルなオブジェクトに映像やCGを投映すると、そこには光が放つ幻想的な光景が広がります。
これを知識も経験もゼロの状態から、「面白そう!楽しそう!」というモチベーションだけで、ついには自分たちの職業にしてしまった、驚異の沖縄Uターン組を発見しました!
プロジェクションマッピングの製作を手がける『ONE ACTION』は、沖縄出身の儀間博成さん玉城陽介さんの二人組ユニット。優しい笑顔とほんわかした雰囲気で、気負ったかんじが全くありません!二人の出会いはわずか三年前。沖縄にUターンするまではお互い全く面識がなかったそうですが、コトの顛末を聞くと、これは「運命」だったに違いない、と思わせるシンクロぶりに思わず驚愕です。
<儀間さんと玉城さんの「5つのシンクロ」>
1.二人とも、沖縄の高校を卒業後、大阪へ。
2.二人とも、大阪では、おのおの料理人、バーテンダーという飲食業に従事。
3.二人とも、4年ほど前、沖縄へUターン。
4.二人とも、お子さんの数は、三人。
5.二人とも、沖縄へUターンするまで、PCを触ったことすらなかった。
→こんな偶然の共通点を持つ二人が、その後、沖縄のWEB関連会社で運命の出会いを果たすのでした!
「子育て環境」のためのUターンをきっかけに、WEBの道へ
二人とも偶然にも、ほぼ同じ時期に、子育て環境を考えて大阪から沖縄へUターンすることに。
さて沖縄で、何をするか。
料理人だった儀間さんは、三人目のお子さんが生まれたタイミングで、拘束時間が長い料理の道から離れることを決心。沖縄県が運営する職業訓練プログラムを受講し、そこで初めてPCの基礎を学んだそうです。その後コールセンター勤務を経て、前職のWEB関連会社へ。
一方玉城さんは、大阪時代、バーテンダーはじめさまざまな職業を経験したものの、漠然と「なんかつまんないなぁ」という思いを常に抱いていたといいます。心機一転、沖縄へ帰ってからは方向転換をし、WEBの世界へ。そして今から三年前、勤めたWEB関連会社で、二人は出会います。
同僚となった二人。距離を縮めた共通点は「今の会社も仕事も、つまらん!」という思い。運用管理の仕事で、同じことを毎日やる日々に辟易していたのだとか。
そしてもう一つの共通点は、「とにかく、自分で何かやるしかない!とにかく、面白いことをしたい!」という思い。
そんなとき偶然にも、お互いの口から出た話題が「プロジェクションマッピング」。これ、めっちゃくちゃ面白そうだよね!!と、即、意気投合。それが、すべての始まりでした。
会社の昼休みの30分。あの時間が、最高に充実していた!
当時の状況を伺いました。
玉城さん
「休憩時間になると、やっと話せる!と思って。その時間に全勢力を注いでいました(笑)15分で飯食って、30分アイデア出しをして、15分寝る。あの時は、この時間が何よりも充実していて、ただただ楽しかったです。」
儀間さん
「朝5時に起きて勉強したことを、昼にお互い話す。二人でいるから頑張れた。楽しかったからできた。それを1年ぐらい勤めながら続けたんです。」
玉城さん
「プロジェクションマッピングやりたいっていう共通の目的は見つけたけど、実際にどうやろうってなった時、ネットに情報が全然転がってない。作品の事例は見れても、どうやってやるかわからず、最初はその情報集めからでした。海外のサイトを見て一つの情報を掴んだら、それを共有して。とにかくそれだけが楽しかったから、続きました。」
…ただ驚いたことに、二人は映像制作の経験も、WEBの専門知識も、ほぼ、ゼロの状態。
それをいきなりハードルが高そうな「プロジェクションマッピング」という世界に飛び込む勇気って、相当じゃないですか?どんな気持ちだったんですかっ??という、前のめり気味な編集部からの質問に対し、
「プロジェクションマッピングって、面白そう!やってみたいよね〜!どうやればできるんだろうね!?とりあえずやってみよっか!ってかんじですよ(笑)」と儀間さんが、屈託のない笑顔で答えてくれたのでした。
ビジネスチャンス?とかじゃないです(笑)
ここでさらに、「オトナの常識」で頭がカチカチの編集部Aが、ヤツギバヤに質問をかぶせます。
編集部A
「…えーっと、じゃあ、プロジェクションマッピングの事業を立ち上げる時に、沖縄に商機がある、ニーズがある、やっていけると感じた瞬間があったと思うんですけど、その感触をつかんだきっかけ、ってありますか??…ゼイゼイ(少々息切れ)」
儀間さん
「え、特にないですね〜(笑)ただ面白くて、人と違うことをやりたかっただけです(笑)あ、でも、沖縄でやってる人がいないっていうのはわかってました。それぐらいですかね〜。」
軽いカルチャーショックを隠すように、息を整えながらアイスコーヒーをすする編集部Aをよそ目に、儀間さんはニコニコしながら続けます。
「始めた時は、ただ楽しいって気持ちだけ。最初は給料はなかったのでキツいこともありましたけど、お金をおいとけば、毎日発見があって楽しくて。あ、それは今も変わらんか〜(笑)」
く、く、屈託なーーい!!!
さらには立ち上げにあたり、お二人の奥様は反対することなど一切なく、全面的に背中を押してくれたのだそう。家族の応援を受け、やりたかったことをやり、楽しみ、成功する。そんな夢見たいな話が、ここにありました。
プロジェクションマッピングに固執してるわけじゃない!
でもなぜゆえに、プロジェクションマッピングなんですか??
玉城さん
「プロジェクションマッピングを始めたきっかけは、本当にもう、ただ、たまたま見て、面白そうだったので。これどうやってるんだろう!?これどうして飛び出して見えるんだろう!?って。」
儀間さん
「別にすごいことをやりたいとか、誰かに評価してほしいとかじゃなくて、ただ楽しいことをやりたいのと、見ている人を喜ばせたいだけ。特に僕たちは子供が好きなので、子供が楽しんでくれるものをやりたい。それが、楽しい。」
玉城さん
「プロジェクションマッピングに別に固執してるわけじゃなくて、楽しければそれでいい。で、一番その時面白そうだと思ったのが、これだった、ていうだけなんです。」
うん。ホント、羨ましいくらい無邪気、無垢。
ビジネスうんぬんの前に、いかに自分の気持ちに素直でいられるか。
その大切さに、気づかされる思いです。
で実際、どうやって作ってるんですか??
しかし想像するに、高い技術を駆使して制作するであろうプロジェクションマッピングを、お二人はどうやって作っているんですかっ??
玉城さん
「完全に独学です!お互い大阪にいる時はパソコンに触ったこともなかったんです。」
なるほど、それはもう、ものすごーい努力の賜物なのでしょうね。
でも努力だけでなんとかなるもんなんでしょうか?めちゃくちゃ苦労されたのではっ??
玉城さん
「キャリブレーションっていうマッピング作業にたどり着くまでは、確かに苦労しましたね。でもそれぐらい。映像に関しては、ソフトがあれば作ることは作れるんです。当時、とにかくこうやれば作れるっていう情報が本当に少なくて。なのでこうすればできるんだ!ってものを発見するまでが大変で、それからは特に苦労したことはないですよ。ハハハ。」
ここもまた、明るく、屈託ナシ!
なんか聞いてて元気出てきます!ハイ!!
ユニット名「ONE ACTION」へ込められた思いとは
「ONE ACTION」のWEBサイトを訪れると、「そうだ!楽しいこと、はじめよう!!!」というキャッチフレーズが目に飛び込んできます。そうですね、楽しいこと始めちゃってますね(笑)…お話を伺っていると、起業しよう!とか、ビッグになろう!ではなく、「とにかく楽しく!」がモットーだということが、うらやましいぐらいに伝わってきました。
そして「ONE ACTION」は、「行動しなければ何も始まらない」という強い思いからつけたのだそう。
「すごい人はいっぱいいるけど、みんな結局行動を起こさなくて始まらない、というのを今までいっぱい目にしてきました。僕は特に最初から何もできなかったんですけど、行動は起こしました。だから、行動を起こすことが一番大事かな、と思って。」
お二人の生き方そのものを体現する、深く、ステキなユニット名です。
活躍の場が広がる!楽しみながら、攻め続ける!
「ONE ACTION」として一番最初に手掛けたのは「傘」の作品。最初はどんな反応が来るのか、すごく緊張しました、、などと言っておられますが、しょっぱなからゲリラライブ状態でやっとるやないかーい!!その大胆不敵さ、さすがです(笑)
玉城さん
「最初は沖縄の北谷町の交差点(観光名所)で、ゲリラ的に、アコースティックライブみたいに、人が集まってる場所でいきなりやりました。電源だけ貸してもらって。みんな面白いって言ってくれて。」
その後もイベントや結婚式、はたまた葬儀場やホテルの壁など、様々な場所やシチュエーションでプロジェクションマッピングを展開。特に、2016年11月に行われた、沖縄のプロジェクションマッピングイベントでは最大級の「世界遺産中城城プロジェクションマッピング」に参加したことにより、その名を広く広めました。今では次第に人脈の輪も広がり、活動の場もどんどん右肩上がりで増えているのだそう。そして地元・沖縄出身ということも、新たな取引先と信頼関係を築く上で、ひとつの重要なポイントになっているようです。
このように場所を問わず、どこでもステージと化してしまうことのできる、プロジェクションマッピング。この自由度の高さはきっと楽しい反面、逆に自由度が高くて大変な部分もあるのでは?
そんな質問に対し、なんともお二人らしいお答えが。
「大変なことですか?そんなにないです。いろんな人の作品を見てとにかく真似る。そして勉強する。それが楽しいです!この時間がホント、一番楽しい!」
はい、またまたスーパーポジティブ、いただきました!!
沖縄にいて、見えてくるもの。沖縄を出て、見えてくるもの
こんなに楽しく充実した日々を過ごせていらっしゃるのであれば、ホント、沖縄帰ってこられて良かったですね(しみじみ)、と若干まとめモードに入りかけた編集部Aの投げかけに対し、ここはちょっぴり冷静な答えが返ってきました。
玉城さん
「沖縄は親族がいるので、子育てする環境としてはいい。でも仕事で言えば、大阪と比較すると、適当っていうか、そんなんでいいの?と思うところもありますね。沖縄の人は一回外に出た方がいいですよ。出てない人に限って、沖縄最高!って言うんですよね。一回外を見れば、沖縄の足りないところも、逆にいいところもわかるのでいいと思いますよ」
なるほど、一度生まれ故郷を離れてこそ、見える景色もあるというわけですね。
というわけで、今後の展望を伺いました。
玉城さん
「いま個人的に面白いなぁと思っているのはLEDです。LED使って、インタラクション使って、マッピング組み合わせて、なんかできないかな、みたいな。まずはLEDの知識いっぱい集めて、、またそこから。それが、一番面白いんです(笑)」
底なしの「楽しみ上手」っぷり、またまたいただきました!!そしてこれこそが、紛れもない成功の秘訣なのではないでしょうか。お二人の今後のさらなるご活躍、期待しています!!
最後に 〜UIターンを、楽しもう!〜
今回お話を伺った玉城さんと儀間さんは、子育てのためのUターンということで、ご自身のキャリアプランとは少し違う軸でのアクションだったのかもしれません。しかし人生って、面白いですね!それが転機となり、運命の出会いを経て、思いっきり好きなことができるチャンスを掴んだわけです。
UIターンをひとつのきっかけに、人生の次のステップを、まっさらな状態からデザインする。
それを、ただただ、楽しめばいい!そして、「ONE ACTION」すればよし!!
なんだか沖縄には、そんな生き方を実現させてくれる潜在力がある。そう感じさせてくれた、今回の取材でした。
▼取材協力
ONE ACTION
http://oneaction.mobi/