地方移住を希望する都市住民と全国の地方自治体のマッチングを行う認定NPO法人・ふるさと回帰支援センター(東京)では、同センターが運営する「ふるさと暮らし情報センター」の来場者を対象に、地方移住に関するアンケートを毎年定期的に実施している。
2017年(1月5日~12月24日)の回答数は8498件。移住相談の傾向、ならびに移住希望地域ランキングが公開された。
尚、2016年の結果はこちら。
(人気の移住先は山梨・長野がNo.1争い!30〜40代の関心が上昇 )
うなぎ登りの相談数と相談会開催数、移住者の強まる若年化
まず一目で分かる変化として、本調査の回答数が2016年の6777件から今年は8498件と、1700件近く増えている。同センターの相談件数も近年は増加の一途を辿っており、その原因として地方移住支援に取り組む自治体や移住相談会・セミナーの開催数自体が増加していることが上げられる。同センターへの問い合わせ件数も前年の26426件から今年は33165件に増加しており留まる勢いを知らない。東京交通会館で行うセンター共催イベントでも500人を超える来場者を集める県もあり、地方創生の大きな流れが加速しているように思われる。
また、前年の結果では30-40代の移住希望者が大部分を占めていたが、今回の結果では20代のセンター利用者が増え、若年層の移住の流れが増々強まっている。
「移住先選択の条件(優先順位)」のアンケート結果が前年では「就労の場があること」「自然環境が良いこと」が4%の差でトップを占めていたが、本年の結果では「就労の場があること」が一位で60.8%、「自然環境が良いこと」が二位で33.4%と大差が付いた。ここにも20代の移住希望者が増えている影響を見て取ることが出来る。
大規模相談会・相談強化で福島・富山の返り咲く
人気の移住先ランキングでは、1位に長野、2位に山梨と前年より二県の順位が逆転した。ここ5年間、上位二県は長野県、山梨県の順位が毎年入れ替わり、続いて昨年に引き続き3位に静岡県と、首都圏から近く移住先としての認知度が高い三県が安定的な人気を誇っている。
4位にはセミナー参加後の相談で確実に移住希望者のフォローをすることで広島県がランクイン、5位の新潟県は相談者の半分以上が20-30代の若年層でUターン希望者が全体の4割と、若者が興味を持ちやすいセミナーを企画したことが功を奏している。
特筆すべきは前年の19位から8位へと大幅に順位を上げた福島県、15位から10位に上がった富山県である。前者はUターン希望者と30代の相談割合が増加しており、また後者は県内全市町村が参加した大規模相談会にてIターン希望者を増やしたほか、就職相談員の配置など相談体制を強化し、20代の相談者を増加させている。更に富山県は次年度から従来の移住の「係」から「課」に格上げし、さらなる移住支援体制の強化を行う予定であり、更なる移住者獲得に期待が高まる。