沖縄県浦添市に本部を置くNPO法人Everyone.Engineer(エブリワンエンジニア)がこのほど、県在住のシングルマザーとその家庭の高校生の子どもを対象に、エンジニアを目指すための6ヶ月間の学習機会を無償提供する奨励金プロジェクトを開始すると発表しました。6月24日から参加者の募集を開始しており、応募締切は7月20日まで。
Everyone.Engineerは、プログラミングなどのIT技術に関する講座やセミナーなどを企画・開催し、IT人材を育成する事業などを手がけています。沖縄が構造的に抱える「地理的な制約」「教育機会の不均衡」「所得の低さ」といった課題を解決するため、オンライン型のエンジニアのコミュニティ『Engineer.Okinawa』や、システム開発の経験を積みながら年収400万円まで稼ぐことを目指す受託開発事業『4mill.studio(フォーミル・スタジオ)』を提供しています。
特に今回対象となるシングルマザーやその家庭で育つ子どもは、経済的困窮や社会的孤立が複雑に絡み合い、将来の職業選択の幅が限られる傾向があるそうです。十分な教育やスキルを得る機会が乏しいため、親世代がかつて直面した困難が子どもにも引き継がれる負の連鎖が存在しているといいます。実際、同法人がこれまで行ってきた講座を通じ、「学びたい気持ちはあるのに金銭的、時間的な事情で断念せざるを得ない」といった声が多く寄せられてきたそうです。

そうした背景から、今回のプロジェクトはシングルマザー家庭が費用の心配をせず、挑戦に踏み出せる環境を整えることを目的に企画。趣旨に共感した福岡市のITベンチャー企業・ホライズンテクノロジーから金銭的支援を受けるかたちで実現した経緯があります。
「未来をつなぐ奨励金」プロジェクトを銘打った本プロジェクトは、今年8月4日から6ヶ月間かけて実施。対象は県在住のシングルマザー、およびシングルマザー家庭の高校生の子ども(既卒・未就業も可)となります。パソコンの操作経験やITスキルの学習歴があれば歓迎ですが、やる気と熱意があれば誰にでも門戸を開いているそうです。
具体的な学習内容として、Everyone.Engineerが提供するエンジニア養成プログラムでの学習環境とともに、プログラム終了後には希望者に対し収入を得ながら実務経験を積める機会も提供するとしています。
申し込みは、応募フォーム(https://forms.gle/qb8JH3PnWQXXty5bA)に必要事項を記入(7月20日締切)。応募多数の場合は書類選考とカウンセリングを実施し、メールで結果を通知するそうです。
今回支援に乗り出したホライズンテクノロジー社の大谷祐司・代表は、「学びへの一歩を踏み出す方々を少しでも後押しできることを、大変光栄に感じています。この奨励金プロジェクトが、未来への『選択肢』を増やし、新たな可能性を広げるきっかけとなることを、心より願っています」などとコメントを寄せています。
