ソフトウェア開発などを手がけるe-Grid(本社:島根県出雲市)がこのほど、出雲市などと高度エンジニアの育成とIT企業間のイノベーション創出を目的とした産官共同での連携協定を締結しました。インキュベーションラボ『GRID BOX』を設立し、地域をあげてDXのまちづくりを進めていきたい考えです。
協定の枠組みは、同社と出雲市のほかに、日鉄ソリューションズ(東京)と島根情報処理センター(島根県出雲市)、和幸情報システム(島根県松江市)によるもの。協定事項は、(1) 高度ITエンジニアの育成、人材確保の仕組み作りに関する事項 (2) ニアショアを実現する環境整備に関する事項 (3) 雇用創出や企業誘致等の地域・社会貢献に関する事項 (4) 学生など次世代への教育支援に関する事項 (5) 新規事業創出に係る研究開発等に関する事項の5点です。
島根県及び出雲市在住のITエンジニアが地方にいながら首都圏の大規模案件に関わる機会をつくることで、高難度の案件に対応できる高度ITエンジニアの育成、及び出雲市内での雇用拡大を推進するとしています。将来的には、UIターン者も含む出雲とつながりのあるIT人材が、市が抱える地域課題をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって解決し、地域の発展につなげていくことを目指したい考えです。
本協定に合わせ、IT企業同士の連携を促進するコミュニティとしてインキュベーションラボ『GRID BOX』を設立したことを発表。e-Gridが主体となって運営し、出雲市をはじめとする地域全体をTECH人材の集積地とすることを目指すとしています。
e-Gridの小村淳浩・代表取締役は、地方から高度ITエンジニアを育成するためにインキュベーションラボを構想したのが約2年前だったとしたうえで、「首都圏企業と地方企業の抱える課題、地方自治体の抱える課題を三方よしで解決することを目指していく」と強調。飯塚俊之市長も、「出雲から高度IT人材が輩出される、IT人材・IT企業が集積するDX先進エリアの実現を目指す」とし、市としても最大限のバックアップを約束しています。
出雲市は、県内では松江市に次いで2番目となる人口を抱え、出雲大社をはじめ多くの観光名所があります。2022年から「市民サービス」「まちづくり」「産業・観光」の3分野でのDXを重点的に推進することを目的とした「出雲市デジタルファースト宣言」を行い、2023年には助成制度を充実させるなどしてIT企業の誘致にも力を入れています。
そんな出雲市で動き出した、産官共同の新たなプロジェクト。エンジニアや地方のIT企業にとって、イノベーティブな施策になるかに期待がかかっています。