福岡から「テクノロジーで、自然と都市をつなぐ」。日本最大級の登山・アウトドアコミュニティーを運営する株式会社ヤマップ

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登山といえばシニア世代の趣味という印象だったが、ここ数年で大きく変化している。お洒落なアイテムを身に着けて登山を楽しむ「山ガール」など、山を愛する若い世代が増えている。今回取材したのは、登山やアウトドアを安全に楽しむためのアプリや、日本最大級の登山コミュニティプラットフォームを運営する株式会社ヤマップだ。「テクノロジーで、自然と都市をつなぐ」というコンセプトのもと、福岡から精力的に「山の素晴らしさ」を発信し続けている。

 

登山好きなら知っている!? 山を愛する人が集う「YAMAP」

- 株式会社ヤマップさんはベンチャー企業として初めて環境省の国立公園オフィシャルパートナーに選ばれるなど、いま注目を集めている企業のひとつだと思います。改めて御社の事業についておうかがいできますか?

「YAMAP」アプリ

大塩さん: ヤマップでは、日本最大の登山・アウトドアコミュニティープラットフォーム「YAMAP」やWebアウトドアメディア「.HYAKKEI」などを運営しています。

登山の経験や思い出を保存できる「YAMAP」には、現在約1,200,000件以上の活動日記が利用者のみなさんから投稿され、ユーザー同士のコミュニケーションが盛り上がっています。また「YAMAP」のスマホアプリはGPS情報を利用して携帯の電波が届かない山の中でも現在地を把握できるので、登山時の安心・安全に役立っています。

「.HYAKKEI」は『自然を楽しもう!』をテーマに、より多くの方々に自然に触れ合うきっかけを持ってほしいという想いで立ち上げたアウトドアWEBマガジンです。都心で暮らす方にも行きやすいスポットや、全国津々浦々の魅力的な自然、その楽しみ方を発信しています。

 

登山のお供を山岳地図とコンパスから、スマホのGPSへ変えた

- 登山、アウトドアをテーマに、様々な事業を展開なさっていますよね。分野を絞っているのはどういった経緯からでしょうか。

大塩さん: ヤマップの理念に「自然と都市をつなぐ」とあるように、都市化が進んだ現代社会で、もっとみなさんに自然を身近に感じてもらいたいという想いがあるからです。とりわけ「YAMAP」というアプリができた経緯には色々ありまして。。。端的に言うとヤマップの代表、春山がGPSとスマホに可能性を感じたこと、そして彼の趣味が登山だったことですね。春山は一時期アラスカに住んでいたことがあり、イヌイットの漁に同行する機会がありました。漁でGPSによって命を救われた経験から、GPSの可能性を感じたそうです。

昔は山に登るときは山岳用の紙の地図を片手に、コンパスを使いながら自分の位置を推測していました。安全に登山を楽しむには、自分の位置を把握する技術が必要だったんです。専用のGPS端末もありましたが、とても高価なもので、誰しもが手に入れられるものではありませんでした。しかし、2013年頃からスマホが普及し、一般の人もGPS情報を活用できるようになりました。携帯の電波は山に届きませんが、GPSなら届きます。登山を楽しむ人にとって、GPSで簡単に自分の居場所がわかるのは画期的なことでした。春山はここにビジネス価値を見出し、自分の出身地の福岡で2013年にヤマップを立ち上げました。

- 紙の地図を読み解くのは大変そうですよね。山岳地図やコンパスが無くとも自分の居場所がわかるなら、昔より登山を始めやすくなったといえるのでは?

大塩さん: そうなんです。「YAMAP」アプリのダウンロードレビューを見ると、「登山へのハードルが下がった」という感想が多いんですよ。登山に興味があっても「地図が難しそう」「大変そう」というイメージで始められなかった方にとって、「YAMAP」が気軽に山を楽しむきっかけになっていたらうれしいです。

 

1ユーザーとして使っていた、身近なアプリの会社にスピード転職

- ところで大塩さんが東京から福岡に移住されたのは、どういったきっかけでしょうか。

大塩さん: 私が東京から福岡に移ったのは2017年4月なので、こちらにはまだ半年です。ヤマップへの転職でこちらにやってきました。私は静岡出身なのですが、静岡の高専を卒業後、新卒で入った東京の企業で3年間エンジニアとして働いていました。社会人になって登山を始め、そこで「YAMAP」を使っていました。

入社3年目の頃、自分にとって身近な「YAMAP」を開発している会社でエンジニア募集をしていると知りました。前職は不動産やパチンコなど様々な分野の開発案件が多かったのですが、登山やアウトドアという自分の好きな分野に特化したエンジニアの仕事ができたらいいなと強く感じたんです。応募から採用までは2週間。入社が決まったと同時にこちらに移ることにしました。

- 福岡への移住で大変だったことはありますか?

大塩さん: 部屋を決めるのが大変でした。というのも実は東京で新しい部屋に移ったばかりだったので、入居1.5か月でまた引っ越しすることになったんです(笑) 幸い違約金などは請求されませんでしたが、短期間に引っ越しが重なることで余計な費用がかかったことになります。福岡は遠いので気軽に内覧に行けませんし、土地勘がないのでどこのエリアがよいのかまったくわからない。仲介の担当者とのコミュニケーションを密にしながら、なんとか部屋を決めることができました。

- そうなると転職するつもりはなかったけれど、急にヤマップに決まり、とんとん拍子に移住したことになりますでしょうか。

大塩さん: そうなんです。転職が2週間で決まったので、そこから急に慌ただしくなりました。短い間に選んだ物件ですが、おおむね気に入っています。いま会社まではバスか自転車です。真夏は暑いのでバスでしたが、それ以外は自転車で20分くらいかけて通勤しています。東京と違って人と車が少ないので、自転車も快適ですよ。

 

満員電車の通勤ストレスが、仕事へのゆとりに変わった

- 福岡への移住は、大塩さんのお仕事にどんな影響を与えましたか?

大塩さん: 満員電車の通勤ストレスがなくなりました。東京では通勤時間がこちらの倍かかっていましたが、その朝夜の時間を有意義に使うことができます。東京時代は帰宅しても疲れてだらだらしていましたが、いまは新しい技術の勉強をしたり、公園のランニングコースを走ったりしています。こうしたゆとりをもって仕事に臨めるのはいいですね。

- 移住が仕事によい影響を与えているのは素敵ですね。福岡に移住したエンジニアの方は、みなさん「福岡最高!」とおっしゃいますが、大塩さんはどうでしょうか。

大塩さん: 福岡は街の機能が充実しているのに、人がそれほど多くないところが快適です。街から少し行くだけで、きれいな海や山がある。便利な街と自然が近いところが魅力ですね。食べ物もおいしくて安い。特にびっくりしたのは烏賊のお刺身ですね。海が近いせいか、魚も新鮮です。

 

圧倒的No.1登山アプリを目指し、山の素晴らしさを伝える機能を実装していきたい

- ヤマップのお仕事のやりがいと目指していることを聞かせてください。

大塩さん: 私はこちらでiOSアプリの新規機能開発とメンテナンスを担当しています。自分も大好きな「山」を扱うアプリには、いったいどういう機能や画面があるとよいのか、1ユーザーとして考え続けられることは、大きなやりがいのひとつですね。

いま目指しているのは、「YAMAP」を圧倒的No.1登山アプリにすることです。日本の登山人口に比べると、ユーザーはまだまだ増やせると考えています。登山を楽しんでいる多くの方に、「YAMAP」を知って役立ててほしいと思います。

登山というと熟年世代の趣味と思う方が多いようですが、実は山に登る若い世代も少なくないんですね。こうした人たちが身近に感じるインスタグラムなどのSNSとも連携しながら、若い世代の登山も盛り上げていきたいと考えています。

 

株式会社ヤマップでは、こんな人を求めています!

登山アウトドア向け WEB サービス・スマートフォンアプリ「YAMAP」開発・運営
「YAMAP Gears」開発・運営
「YAMAP Events」開発・運営
自然愛好者向けオウンドメディア「.HYAKKEI」運営
山岳保険「YAMAP アウトドア保険」販売
https://corporate.yamap.co.jp/

 

プロフィール

大塩 雄馬(おおしおゆうま)さん
iOSエンジニア。1993年、静岡市生まれ。沼津工業高等専門学校卒業。登山歴は2015年~。東京で新卒エンジニアとして働き始めてから趣味で登山を始める。登山への熱意が嵩じて、2017年YAMAPへ参画。YAMAPひとつで登山のすべてをサポートできるよう、サービス開発に尽力しています。

About Author

インコを愛するフリーライター。趣味は格闘技。いつまで経っても強くなれない悔しさを、仕事へのエネルギーに変えています。

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