東京から新幹線で約2時間。静岡県の西部に位置する浜松市は、2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台としても注目されている。東京と大阪の中間にあるという利便性で、独自の発展を遂げた都市だ。この浜松で2011年に起業した株式会社SPLYZAは、なんとエンジニアがすべて外国人。国際色豊かな開発チームでは、日々どのように仕事をしているのだろうか。海外から移住した彼らには、浜松の暮らしはどのように映っているのだろうか。代表の土井さんとエンジニアのみなさんにお話をうかがった。
スタートアップ企業が集結するHi-Cubeにオフィスを置く、株式会社SPLYZA
- 株式会社SPLYZAは起業されて6年とのことですが、浜松を選んだ理由はどのようなものだったのでしょうか?
土井さん: 最初は東京で起業することも考えたのですが、私以外の創業メンバー2名が浜松に住んでいたので、この地を選びました。現在弊社のオフィスは、浜松イノベーションキューブ(HI-Cube)にあります。こちらのHi-Cubeは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が静岡県・浜松市と協力しながら、起業や新事業展開等を総合的に支援する施設です。弊社のほかにも多数の起業が入居しています。
- webサイトの写真を拝見すると、Hi-Cubeは新しくて立派な施設ですね。スタートアップ企業が集結している場は、いろんなチャンスがありそうです。静岡大に近いようですが、学生たちとの接点も多いのでしょうか。
土井さん: まさに静岡大の真横です。Hi-Cubeは大学などの研究機関と積極的に連携してビジネスチャンスを探る目的もあるので、弊社としても教授とのやりとりもありますし、イベントを通じて学生と接点を持っています。
創業メンバーはみなスポーツが好き
- 御社では「世界中のスポーツマンに向けてワクワクすること」を掲げて、様々な自社開発製品をリリースされています。スポーツ分野に特化しているのは、どういう理由からでしょうか。
土井さん: 創業メンバーの3人が、みなスポーツ好きなんです(笑) 大学時代はもちろん、大人になった今でもウィンドサーフィンやフットサル、スキムボードなどを楽しんでいます。
スポーツ分野で弊社がリリースした製品には、スマホで撮影すると動きが連続する残像として自動的に表示され、様々なスポーツのフォームが確認できる「CLIPSTRO」があります。手軽にスマホで撮影した自分のフォームを、データをもとに正確にチェックできるツールとして多くのユーザーに支持されています。この「CLIPSTRO」をゴルフに特化し、スイングや弾道の軌跡が自動で可視化されるアプリが「CLIPSTRO Golf」です。こちらは2015年4月に日本、イギリス、中国など17カ国のApp Storeでスポーツアプリ1位を獲得しました。
もうひとつ、チーム全員で強くなることを目的としたアプリケーションが「SPLYZA Teams」です。こちらはサッカーなどチーム制のスポーツにおいて、撮影した試合の映像をメンバー全員で分析できるツールです。チーム全員で分析作業に取り組める機能があるのでコーチの負担が減り、強いチーム作りに力を注ぐことができます。「SPLYZA Teams」は高校、大学、社会人チームを通して、全国リーグ級のクラブチームからアマチュアチームまで、幅広く活用いただいています。
ホンジュラス、ベトナム、イギリス、メキシコ出身からなるエンジニアチーム
- 御社では社員は全員外国人とうかがって少し驚きました。外国人エンジニアを採用されたのは、どういった経緯からでしょうか。
土井さん: 現在、弊社で4人の外国人エンジニアが働いています。採用を始めたのは2年ほど前からです。私を含む創業メンバー3人のうち、プロダクト責任者がアメリカ人なんですね。日本人エンジニアも歓迎だったのですが、LinkedInなどでグローバルに採用活動を行っていたところ、たまたま現在のメンバーになりました。4人のエンジニアのうち、Guillermoさんだけはフットサルで出会いました(笑)
- 今日取材にご参加いただいている4人のみなさん、簡単に自己紹介をお願いします。
Guillermoさん: 私はホンジュラス出身です。入社前から浜松に住んでいました。ここでは「SPLYZA Teams」の開発とメンテナンスを担当しています。
Trungさん: 私はベトナム出身です。こちらに入社する前は、東京で開発の仕事をしていました。日本の堅い会社だったので、もっとアクティブに仕事をしたいと思ってこちらに転職しました。主にAndroidアプリの開発を担当しています。
Johnさん: 私はイギリス出身です。私ももともと浜松に住んでいて、こちらに参加しました。社内ではデータベースのバックエンド開発を担当しています。
Rogelioさん: メキシコ出身です。入社をきっかけに、半年前に米国から浜松に移りました。こちらでは「SPLYZA Teams」の開発リーダーを担当しています。
浜松は静かで開発に集中できる?
- いろんな国の方が一緒に仕事をされているんですね。もとから浜松にいた方、入社をきっかけにこちらに移った方と半々のようですが、みなさんに街の魅力はどう映っていますか?
Guillermoさん: 浜松に住んで2年半になりますが、大好きです。静かなところがいい。
Trungさん: 私も好きです。浜松はまだ1年ちょっとですが、住んでる人が優しくてフレンドリーだと思います。東京みたいに混雑していないですし。大都市ではないですが、十分便利だと思います。
Johnさん: 私も浜松は2年以上になりますが、気に入っています。浜松駅には新幹線が停まるので、旅行に行きやすいですね。
Rogelioさん: 私も好きです。街は大きいのにゆったりとしていて静かですよね。海に近いのも魅力です。
ITエンジニアのやりがいは世界共通!?
- ITエンジニアとして、みなさんのお仕事のやりがいを聞かせてください。
Guillermoさん: ユーザーからアプリが使いやすいという声を聞くとうれしいですね。苦労して実装した新しい機能が、大きなバグなく動いたときもやりがいを感じます。
Trungさん: 私は自分が開発に携わったアプリがユーザーの役に立ったときですね。新しいツールが人々の仕事や人生を変えていくのがおもしろい。
Johnさん: 新しい技術を使った開発です。それが新しい機能として動き、ユーザーに活用される瞬間が幸せです。
Rogelioさん: いろいろな文化の中で新しい技術やアーキテクチャを学ぶことですね。自分よりも経験のあるエンジニアと接して、新しい技術動向を知るもの仕事のやりがいになっています。
- やはり仕事のやりがいは、どこの国のITエンジニアも共通のようですね。こちらで働き始めてまだ短いと思いますが、みなさんの将来の夢は?
Guillermoさん: 仕事とは直接関係ないんですが、将来は大学でコンピュータサイエンスの修士号を取りたいと思っています。
Trungさん: 私はいつかベトナムで起業するのが夢です。祖国の人々の生活に役立つアプリケーションを創りたい。
Johnさん: 将来の夢ですか、いまのところ具体的なものはないです。もう少ししたらなにか出てくるかもしれませんが…。
Rogelioさん: アップルの技術をもっと学んで、バックエンドの設計やプロジェクトマネージャーを目指したいと考えています。
- みなさんありがとうございました。お仕事と関係なくてすみません。浜松といえば鰻ですが、みなさん鰻はお好きですか。
Rogelioさん: 好きです~!
Johnさん: 私はちょっと苦手…。
Guillermoさん: 私は日本食ならお好み焼きと寿司が好きですね。
Trungさん: 私はラーメン。
日本以上に、海外のユーザーを増やしていきたい
- みなさんのお話をうかがって、開発に集中できる静かな環境と便利さが共存しているのが浜松なのかなと感じました。最後に土井さんに御社がこれから目指していることをおうかがいします。
土井さん: 弊社がリリースしているアプリを、海外にどんどん展開していきたいと考えています。いま最初に英語版、次に日本語版をリリースしているのですが、まだ日本がメインです。ゆくゆくは海外のユーザーのほうが多いくらいにもっていきたいですね。
撮影した映像を活用し、チームメンバー全員で試合の分析ができる「SPLYZA Teams」はサッカーの利用が多いのですが、プロのアドバイスを取り入れて様々なスポーツにも活用できるものにしていきたいと考えています。
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株式会社SPLYZA採用情報
プロフィール
土井寛之(どいひろゆき)さん
株式会社SPLYZA 代表取締役。趣味:ウインドサーフィン。人生の目標:人生が1週間の連続とするなら7/7ワクワクすること。こんな会社にしたい:日曜日の晩に、月曜日の仕事のことを考えるとワクワクしすぎて眠れない。
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