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沖縄にここまですごい会社があることを知らずに今日まで生きてきて、本当にすいませんでしたーーッ!!

UIターンする時に気になるのは、ズバリ「都市部と比較して、会社のレベル感はどうなんだろう?」という点ではないでしょうか。エンジニアとしての手腕を十分に発揮できる環境はあるのか、さらに自分自身がこれからもレベルアップできるんだろうか??

そんな不安を瞬殺で解消してくれる、「圧倒的にすごすぎるワールドワイドなゲーム会社」を沖縄で発見しました!

優れた技術力はもちろん、人並みならぬ人間力を備えたエンジニア集団が、異空間さながらのオシャレオフィス@沖縄で「世界を震わせるゲーム」を作る、その実態とは!?

沖縄県宜野湾市にあるベンチャー企業「株式会社SummerTimeStudio」を取材しました!

いま大注目のベンチャー企業社長、短パン姿で現る!

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

「こんにちは!よろしくお願いします!」

短パン姿でにこやかな笑みをたたえて現れたのは、SummerTimeStudioの代表取締役社長、弘津健康さん。お会いしてすぐに「気さくで、物腰柔らかで、すごくいい方〜!!」という第一印象を持ちましたが、取材を終える頃には「そんでもって、ほんとにスバラシイ人格者&経営者だわー!!」という感想もプラスされるのでした。

根っからのゲーム好きという弘津さんは、ベンチャー系ゲーム会社を数社経た後、2011年6月SummerTimeStudioを東京で設立。「国内外の優秀なゲームクリエイターと、世界へ響くオリジナルゲームを開発する!」という熱い思いを抱き、設立翌年には沖縄へ拠点を移します。(現在は台湾にも開発拠点を持つ)

事業内容はタブレット・スマートフォン・VRハードウェアのゲーム開発がメインで、リリースした自社開発タイトルは世界中で次々と大ヒット!過去リリースの10タイトルは世界累計でなんと600万ダウンロードを突破したのだとか(2015年時点)。さらに台湾の高雄市で開催されたインディーズゲームの祭典『2015 Kaohsiung Game on Weekend』で、弘津さんがスピーカーとして招かれ基調講演をするなど、まさに破竹の勢いで大躍進している、いま大注目のベンチャー企業です。

サマータイムスタジオがリリースした自社タイトルゲーム一覧

レトリバーのシュタインくんがお出迎え!オシャレすぎる異空間@宜野湾

さて「人は見た目が何割」とか言われている昨今、会社の印象というのも「オフィスの見た目」に左右されるところが大きいよねと思う今日この頃。で、驚きました。郊外の幹線道路沿いといった少し地味な場所(!)で、派手な主張もない建物に一歩足を踏み入れたその時。

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

目の前に現れたのは、まさに異空間!!玄関で出迎えてくれたのは、ナデナデ大好きなお利口レトリバーのシュタインくん。その先に広がる1Fのフリースペースは大画面でゲーム大会もできちゃう、遊び心満載のエンタテインメント空間!!

定期的にゲーム大会が開かれる。後ろにはギャラリー席も

さらに2Fの執務スペースは全面人工芝が敷き詰められ、なんとヨガルームまであるではないですか!!さらに多くのフィギュアに囲まれたゲーム会社らしいワクワク感満載の雰囲気がハンパない!!

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

そして何より感動したのは、社員のみなさんの礼儀正しさとノリの良さ!編集部がお邪魔すると、一斉に作業の手を止めて立ち上がり、皆さんで心のこもった気持ちのいいご挨拶をしてくださいました。そして弘津さん、おもむろに目があった社員の方に、なにやら「はいどうぞ」と振っているではないですか。するとご指名を受けた社員さんが一瞬のためらいもなく「自分の持ちネタの一芸」を披露!!聞けば全員、一芸を持っていて、いつ振られてもすぐに対応できる「臨戦態勢状態」なのだとか。ンモーとにかく何もかもびっくりしました!!

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

で、日頃の悪い癖で、つい思ったことをそのまま口に出しちゃいました。

「弘津さん、なんでこんなすごい会社がココにあるんですかね!?なんていうか不思議で…」

最先端のものは都会にある、というような古い固定概念が捨てきれない編集部Aの疑問に、弘津社長はこう答えてくれました。

「粛々とゲームを作るには、この場所と気候がぴったりなんです!そして、沖縄っていう環境は、ビジネスにおいてのデメリットを生むっていうことは、ほぼないですね。作り手の環境としてはベストですよ。」

なるほど!これはUIターンを考えるエンジニアにとっては、まさしく朗報!ゲーム作りは場所問わず。どこにいても、腕一本あれば活躍できるというわけです。

会社の文化を理解してもらうことの重要性

ふむ、ということは、技術力の高いエンジニアのスペシャリストたちが都会の雑踏を後にして、楽園(と書いてオキナワと読む)へ集い、のびのびとゲーム作ってる、みたいなかんじですか??

弘津さん:
「うちは新卒採用が多いんです。基本的に僕は、育てることに重きを置いています。即戦力としての中途採用ももちろん行ってますが、僕らの文化を正しく理解してくれることの方が重要ですね。」

…ここで出てきた「僕らの文化」というキーワード。SummerTimeStudioが躍進を遂げている根っこの部分でもあり、会社の魅力そのものでもある「文化」とは?前のめりになりながら、美人の総務担当・野村さんに注いで頂いたさんぴん茶をすすりながら、さらに突っ込んでお話を伺いました。

エンジニアは「足で稼ぐ」もの

弘津さんへのインタビューで何より一番心に響いたのは、「エンジニアは足で稼ぎ、何よりもコミュニケーションを大切にしないといけない。そして人としてどうか、というのが一番重要」というお話でした。そして、この考えこそが「SummerTimeStudioの文化」そのものなのです。エンジニアって、何より一番に技術力なのでは?という素人考えは、弘津さんの考えを順序立てて聞いた途端、一瞬で砕け散りました。

弘津さん:
「オフィスの様子を見ていただくとわかるんですけど、うちの子たちはエンジニアだけど、コミュニケーションをとにかく取ろう、っていうことを前提にやっています。『開発は足で稼いで作るもんだから』っていうのを僕はいつも言ってるので。」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

足で稼ぐ。つまり、自分からグイグイ行ってコミュニケーション取ろうよ!ってことですね。仕事をする上で受け身じゃダメというのは、万国共通の話だと思いますが、ことエンジニアも、ですか??(エンジニアって、なんだか孤高の人みたいなイメージが…)

弘津さん:
「例えば質問があったときに、業務ツールにテキストを書いて相手に送ったら、その確認はちゃんと自分で行くべきでしょ、足で、っていう。うちの会社はそれほど人同士が離れてないので、たった10歩あるいてそれ聞きに行くだけなのに、その10歩が歩けないっていうのは問題だなあ、と思って。要は、何かあればその人のところに行って、同じ画面を見ながらやりなさい、と。」

ここでいうコミュニケーションの必要性は「人としての姿勢の問題」と、「よりよい問題解決の手段を取るため」、という二つの側面が垣間見えました。確かに、大いに納得です。弘津さんの「エンジニアにとってのコミュニケーション重要論」、まだまだ続きます!

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

「足でかせげ」の言葉とおり、ディスプレイを囲んで話をする姿があちこちで見られる

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

最先端のゲーム作りに欠かせないのはやはり「コミュニケーション」

弘津さん:
「ゲーム系で行けば、コミュニケーションがないと本当にダメだと思いますね。ゲームにおける技術的な話で行くと、僕らはもともと『家庭用』のメーカーにいたメンバーで作った会社でもあるので、いわゆる『ソーシャルゲーム』って言われるWEBの技術を使った会社さんとちょっと違うんですね。家庭用のゲームの作り方って、同じように見えた機能でも実は裏側のバックボーンが全然違ったりすることがあるので、そこの技術とか、世界の最新のグラフィック技術とかを入れていくってなると、どうしても日常的にどういう情報をキャッチアップしてるのかとか、お互いにコミュニケーションがとれていないと、作れないんじゃないかなぁと思っていて。なので黙々と作業するタイプの方はどうしても、『家庭用』ではないんですよ。」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

なるほど、特に「家庭用のゲーム開発」という場での、最先端の技術力を維持向上するためには、個々人が黙々と技術力を磨くより、コミュニケーションによって全体の質を高めていく必然性があるのですね。うーん、コミュニケーションって、深い!!

エンジニアである前に、「人として」

弘津さん:
「それとは別に、例えばゲーム会社でありがちな、お客さんに挨拶できないエンジニア。僕はもうそれが人間的にダメ。目を合わせて会釈でもすればいいのに、全然見ないんですよ。それは、開発はできても人間として間違っているし、君を応援する気になれない、となります。だから僕はうちの子たちに対しては、自分の足で稼いで積極的にコミュニケーションをとるように徹底して言ってきました。とにかく人にきちんと挨拶をするとか、そういう人として最低限のことを。なので、それができない人はうちには一人もいません。」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

常につきまとう「人として」問題、ここでも勃発です。ちなみにSummerTimeStudioは自社開発の他に、誰もが知っている大手メーカーの、誰もが知っているビッグタイトルの受託開発も行っているのだそう。その際、提携先である日本最先端のゲームクリエイターやエンジニアと信頼関係を育むために必要となってくるのは、やはり技術力≦人間力なのだとか。

弘津さん:
「技術があったりだとか年下だから教えるんじゃなくて、やっぱり『礼儀』があって、人間的にしっかりできてるから、じゃあ君にこれ教えるね、っていう話になるんだよ、と。そしてゲームに限らずですが、最終的に仕事って人で繋がってできていくので、僕らが思っているのはゲームづくりの技術的な話じゃなくって、完全に人としてどうかって話です。」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

お話を伺い、ありとあらゆる面で「コミュニケーション」と「人としての姿勢」がいかに重要かについて痛感しました。これ、エンジニアに限らず、仕事をする人間誰しもに言えることですが、わかっているつもりでもできていないという人が多いのでは。そこにきてSummerTimeStudioでは、これがすっかり「文化」として定着して、一人一人の考えや行動に浸透しているのです。これが、この会社の「圧倒的な強さ」の秘訣ではないでしょうか。

技術に固執せず、こだわりを捨てよう

さらにエンジニアの心構えとして、重要な2つのポイントも伺うことができました。

*一つ目は「技術に固執しない」

弘津さん:
「今はゲームに限らず、技術開発の速度がとにかく早い。経験上で持っている技術がたとえ高くても、一年後には古い技術になり、もう全然使われていないということも。だからそこに固執するのはやっぱり良くないです。でもエンジニアってそれが持っている唯一の武器なので、固執することが多いんですよね。それを捨てる勇気を持たせることもそうですし、捨てたときに、新しいものを習得するのに2年3年かかるというのはこっちも覚悟を決めますね。」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

*二つ目は「こだわりを捨てる」

弘津さん:
「ゲームのジャンルをとにかく固定にしたくないと思っていて。結果、作品ごとに毎回毎回価値観が変わっていくことも多いわけです。そんな時に一つの何か「こだわり」を持ってしまうと、それしか見えなくなってしまう。今の時代ってVRとかもそうなんですけど、新しい技術や価値観のものにトライしていく思想って必要だと思うんですね。そうなった時に、いわゆるそれまでの経験上、狭いとこしか見たことがない人って、いきなり世界が広がるのが怖いんです。

うちのクリエイターの子たちには、自分のこだわりがあっても、次の新しいところに行くまでの間に、自分の価値観をさらに高めてもらえる要素を見つけられるような力をつけてほしいな、と思っています。」

こだわらない、を地で行く一つの事例

固執せず、こだわらず。そんな姿勢がうかがえる一つのエピソードがあります。

2015年にゲストスピーカーとして、初めて台湾の高雄市を訪れた弘津さん。行ってみて、高雄市の圧倒的な素晴らしさにすぐに魅了されたといいます。発展を遂げている台湾第二の都市であることはもちろん、環境もバツグン!そしてなんといっても食べ物がオイシイ!というわけで、台湾にも開発拠点を作ってみようかな?と思い立ち、ハイ、あっという間に台湾ブランチ作っちゃいました!!そして「台湾行きたい人〜!」で、手を挙げた11人全員が台湾へ。

というわけで、会社も、メンバーも、フットワークが軽い!!この「こだわらないマインド」こそが、世界を大きく広げていく鍵となるのではないでしょうか。

Iターンで向いている人とは?

ここまでの「エンジニア論」をはじめとしたSummerTimeStudioの「文化」に共感した多くの方は、うわ〜沖縄へ行きたいかも〜!とウキウキしながら小躍りしているのでは!?そんな方のために、ご自身も東京からのIターン組である弘津さんに、「沖縄へのIターンに向いている人」について伺いました!

弘津さん:
「移住で過度な期待はしない方がいいですね。沖縄だからっていう決めつけできてしまうと、そのギャップにやられてしまう。あんまり強い憧れを『南国』に抱いている人は、向いていないかもしれないですね。」

「むしろ東京と同じスタイルを貫くっていうか、場所にとらわれずに、自分の価値観のまま生活できて、たまたまそれが沖縄だった、がいいかな。あとはありのままを受け入れるという姿勢とか柔軟性は必要かもしれないですね。東京も沖縄もそんなに変わらないはず。花粉症があるかないかぐらい(笑)」

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

続けて、沖縄の企業の現状についても教えてくださいました。

やはりエンジニアは、引く手あまたの状態のようですよ。

弘津さん:
「多くの人が地方に来てくれたらいいですよね。沖縄県の中でも実は知れば知るほど優秀な仕事をやっている人とかシステム組んでたりする会社がいっぱいあるんです、実は。ただ企業側の発信がうまくできていない、というのが結構多いですね。でも実際には環境的には全然ある、っていうのが事実。ただ知られてないだけ。企業側が下手なだけなんですね。PRとか。そこにお金かけないですし。それはすごく勿体無いと思います。」

弘津さん、貴重なお話の数々、大変ありがとうございました!!

(もうすっかり大ファン♪)

さいごに 〜地方がリードする時代を目の前にして〜

グローバルに名を馳せる、急成長中のゲーム会社が沖縄にあるということに対して、近い将来には、誰も大した驚きを感じないようになるでしょう。

今回取材させていただいたSummerTimeStudioの場合、エンジニア一人一人が「人としてどうあるべきか」を考えながら日々研鑽していくような環境と文化は、沖縄という場所にいてこそ生み出された「必然の産物」なのかもしれません。そしてこのような化学反応は、今後も様々な地域と分野で、次々と生まれるはず。

そんな状況が当たり前になった時、みなさんは、どこで何をしていたいですか?今後も各地方に、レベルの高い会社が次々と台頭し、自分自身が成長し続けるにこと欠かないという状況は、UIターンに興味を持つ方にとって希望そのものではないでしょうか。

例えば沖縄のような穏やかな環境に身を置き、技術力と人間力を向上させるような人生を楽しんでみるもの、ひとつアリかもしれません。もしも少し疲れた時には、少しだけ車を走らせて海へ行きましょう。エメラルドグリーンの海が、きっと癒しのパワーをくれるはずです^^

サマータイムスタジオ/沖縄/Iターン

▼取材協力
株式会社SummerTimeStudio
http://summer-time-studio.com/

SummerTimeStudio公式Facebookページ
https://www.facebook.com/sts.okinawa/

▼お話を伺った人
株式会社SummerTimeStudio
代表取締役社長
弘津健康

About Author

沖縄のクリエイティブエージェンシー・株式会社HUVRID所属ライター。 1974年生まれ。大学卒業後、百貨店勤務を経て楽天株式会社にて楽天市場事業ECコンサルタント、広報職を経験。その後フリーライターとしてコラム執筆や取材記事を多数手がける。同時にフリーランスとして、PRコンサルタント、クラウドファンディングサイト立ち上げ等に従事。 2015年に沖縄出身の夫に帯同し、沖縄へ移住。つまり自身が東京→沖縄のIターン組。 無類の鳥好きで、現在セキセイインコ2羽のお世話係(別名、下僕)。自慢は飼い鳥に関する獣医用の専門書と文献のコレクション。個人で「インコメディア」を立ち上げのため、目下奮闘中。 NPO法人TSUBASA認定バードライフアドバイザー2級取得 / ジャパンビアソムリエ協会認定ビアソムリエ(BASIC)取得 / シナリオセンター東京本校・シナリオ作家養成講座修了

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