IT×地方=農業の課題解決⁉︎ IT企業・セラクが島根、長崎両県に研究拠点を開設

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温度や湿度、日照時間などをクラウド上で計測・管理する農業IoTサービス「みどりクラウド」などを展開しているIT企業のセラク(東京都新宿区)が、地方各地に研究開発施設を開設し、同サービスの機能強化や全国的な普及に力を入れている。

島根県東部の山間地域に位置する、人口約1万2000人の奥出雲町。この小さな町に7月21日、県や町関係者のほか、東京の企業社員などが数多く押し寄せた。東京のIT企業・セラクが開設した研究開発拠点「奥出雲農業IT研究所」のオープニングセレモニーが行われたからだ。勝田康則町長やセラクの宮崎龍己社長が笑顔でテープカットを行い、施設の開所を盛大に祝った。

(セラク・ホームページから)

実は、同社が地方にこうした研究施設を設けるのは今回が2例目。第1弾として、今年6月末に長崎県南島原市内の廃校跡地に「南島原農業IT研究所」を開設していた。

今回新たに進出した島根県は企業誘致に積極的で、奥出雲町は特にIT企業の誘致を進めていたという。一方でセラクは、地元農家との共同実験に取り組めること、同町が中国・山陰地⽅のほぼ中央に位置し、同地域の「みどりクラウド」ユーザーのサポート拠点として利便性が高いこと、また⼊居した敷地内には農業⽤ビニールハウスがあり、実験施設として活用できることなどから進出を決断した経緯があるという。

セラクはこれら2つの拠点で、「みどりクラウド」を活用した生産性向上のための実証実験や、追加機能の開発をはじめとする研究を行っていくとしている。また、食の安全・安心や環境保全など持続可能な生産工程管理として知られる「GAP(Good Agricultural Practice)」の認証取得支援を含めた、農作業記録の新機能「みどりノート」の研究開発にも取り組んでいく計画という。

(セラク・ホームページから)

セラクは、ITインフラ基盤の構築・運用やスマートテクノロジー、WEBマーケティングなど様々なIT関連サービスを展開。2016年8月期の売上高は63億1700万円(前期比18.3%増)、経常利益は5億3200万円(同65.6%増)。従業員は1466人に達する(2017年2月末現在)

独自サービスの1つである「みどりクラウド」は、専用機器を購入して電源を入れるだけで、温度や湿度、日照時間、日射量、土壌水分、CO2濃度などの計測情報や気象予報データをスマートフォンやパソコンで遠隔管理できるモニタリングシステム。人手不足や重労働に悩む農業の生産性向上などに一役買っている。

近年、農業などの一次産業をITを活用して盛り上げようという動きが広がっている。サービスを開発する企業側にとっても、実際にその最前線に拠点を構え、地域や農家と一体となって研究を進める効果は大きそうだ。

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シフトローカル編集部。シフトローカルなメンバーが集まって構成している。

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